経理の市場価値簿記とキャリアの掛け算で年収はどう変わるか

2026年7月6日 公開・キャリア査定AI編集部

経理は「資格を取れば年収が上がる」とも「実務さえあれば資格は不要」とも言われますが、実態はどちらでもなく、資格と実務経験の掛け算で市場価値が決まりやすい職種です。同じ簿記2級でも、月次決算を回した経験があるかどうかで評価は変わる傾向があります。

この記事では、経理の市場価値を決める構造、経験の階段、年収を上げる掛け算の型を整理します。

経理の市場価値は「資格×実務経験」で決まりやすい

経理の採用で企業が見ているのは「どこまでの業務を任せられるか」です。資格はその土台となる知識の証明、実務経験は実際に手を動かした範囲の証明で、どちらか一方だけでは判断材料として不十分になりやすいのです。資格だけあって実務がないと「教育が必要な人」、実務だけあって体系的な知識がないと「応用が利くか未知数な人」と見られる場合があります。

前提として、市場環境も数字で確認しておきます。厚生労働省job tagによると、経理の平均年収は512.2万円(平均年齢44歳)、有効求人倍率は0.59倍です(厚生労働省job tag・令和7年賃金構造基本統計調査/令和6年度ハローワーク求人統計より)。看護師2.41倍・薬剤師3.57倍・介護3.09倍・エンジニア2.57倍といった売り手市場の職種とは正反対で、求職者1人に対して求人が1件を下回る「買い手市場」です。

これは悲観材料というより、戦い方を決める材料です。応募が通りにくい市場だからこそ、資格と実務経験による差別化が他職種より結果に効きやすいと考えられます。1つの求人に応募が集まりやすい市場では、「何を任せられる人か」を具体的に示せる人から順に選ばれていくからです。

出典: 厚生労働省job tag(経理) https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/430 。他職種の有効求人倍率もjob tagの各職種ページに基づきます。

年齢別の相場の目安(本サイトの推定基準値)

事務・管理職の年収相場(年齢別・本サイトの推定基準値・万円)

年齢年収相場(推定・万円)
22〜25歳380
26〜29歳450
30〜34歳500
35〜39歳550
40〜44歳560
45歳〜570

本サイトの推定基準値です。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)の「総合事務員」と「会計事務従事者」の平均から作成した「事務・管理」職種の値であり、経理単独の統計値ではありません。「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与」で算出し、10万円単位に丸めています。実際の年収は企業規模・担当範囲・役職で大きく変わります。

参考: 厚生労働省job tagでは経理の平均年収は512.2万円(平均年齢44歳)とされています( https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/430 )。上の表とは職種区分・算出方法が異なります。

この基準値は事務職全体の平均的な水準です。経理はこの中でも、担当範囲(月次・年次・連結・開示)と企業規模によって上下に幅が出やすい職種と考えられます。だからこそ「どの階段まで登ったか」が重要になります。

簿記資格の効き方

  • 簿記3級: 未経験から経理を目指すときの入口。単独での評価は限定的ですが、学ぶ意思の証明にはなります。
  • 簿記2級: 経理の実務語彙が揃う水準。実務経験と組み合わさったときに最も効きやすい資格と言われます。
  • 簿記1級・税理士科目・会計士: 専門特化の領域。上場企業の開示・連結や税務の専門職を目指す場合の武器になり得ます。

ポイントは、簿記2級を「持っているだけ」では差がつきにくいことです。応募者の多くが持っているためです。差がつくのは「2級の知識で月次決算を回した」「年次決算の補助をした」のように、資格と実務が結びついた瞬間です。

なお、「簿記を取ると年収がいくら上がるか」を直接示す公的統計は存在しません。一方で、厚生労働省job tagは日商簿記などを経理の「仕事に役立つ資格」として公式に掲載しており、評価の土台になる資格であることは公的な職業情報でも示されています。金額を約束する資格ではなく、実務と掛け合わせて効く資格、と理解するのが正確です。

経験の階段: どこまで登ったかが値段を変える

  • ① 日常経理: 仕訳・経費精算・請求書処理。経理キャリアの土台です。
  • ② 月次決算: 締めから試算表作成までを自分で回せるか。最初の大きな段差です。
  • ③ 年次決算: 決算整理・税務申告の補助まで含めて経験すると、任せられる範囲が一気に広がります。
  • ④ 連結・開示・税務: 上場企業や規模の大きい会社で問われる領域。専門性としての市場価値が付きやすい階段です。
  • ⑤ マネジメント: メンバー管理・監査対応・経営層への報告。30代以降の伸びに効きやすい要素です。

転職市場での経理の評価は、この階段の「どこまでを一人で(あるいは主担当で)やったか」でほぼ説明できると言われます。職務経歴書でも、この階段のどこにいるかが伝わる書き方が有効です。

市場価値を上げる「掛け算」の型

  • 簿記2級 × 月次決算の主担当: 実務系経理の基本形。ここまでで転職の選択肢が広がりやすくなります。
  • 年次決算 × 税務申告の実務: 税理士法人・中堅企業で評価されやすい組み合わせです。
  • 連結・開示 × 上場企業経験: 経理の中でも代替が利きにくい領域で、専門職としての価値が付きやすい掛け算です。
  • 経理 × システム・データ活用: 会計システムの導入・改善やデータ集計の自動化経験は、規模を問わず評価されやすい上乗せ要素です。

どの掛け算も、いまの職場で「一段上の業務を引き受ける」ことから始められます。転職はその積み上げを市場価格に変える手段であって、積み上げ自体は現職でもできる、という順序を意識すると遠回りしにくくなります。逆に、いまの職場に次の階段(年次決算・連結など)が存在しないなら、階段のある環境へ移ること自体が投資になります。

まとめ

経理の市場価値は「資格×実務経験の階段」の掛け算で決まりやすく、簿記2級はその起点として最も効率のよい資格と言われます。まず自分がいま階段のどこにいるかを言語化し、推定相場と照らし合わせたうえで、次の一段(月次→年次→連結・開示)をどこで積むかを考えてみてください。

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出典・注意事項

本記事の統計数値の出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)。 金額は「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与」による推定で、10万円単位に丸めています。

掲載内容は一般的な傾向の解説であり、個別の年収や転職結果を保証するものではありません。 企業規模・地域・雇用形態・職務内容などにより大きく変わります。

算出手順の詳細は 算出方法と出典 をご覧ください。