「25歳で年収300万円って、同年代と比べて少ないんだろうか」。検索してもQ&Aサイトの体験談ばかりで、結局自分がどの位置にいるのか分からない——そんな状態を、この記事では相場データで整理します。
結論から言えば、25歳の年収300万円が「少ないかどうか」は職種によって答えが変わります。全職種平均と比べれば低めですが、職種の相場と比べるとほぼ相場どおりのケースもあります。大事なのは平均との差に一喜一憂することではなく、「どの土俵にいるから、この数字なのか」を分解して、次の一手につなげることです。
Q1. 25歳で年収300万は少ない?
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」に基づく本サイトの推定基準値では、25歳を含む22〜25歳の全職種平均は推定390万円です(賞与込み)。この数字とだけ比べると、300万円は平均より約90万円低い水準に見えます。
ただし、この「平均との差」だけで少ないと結論づけるのは早計です。年収の水準は職種によって大きく異なり、同じ25歳・年収300万円でも、販売・サービス職なら相場(推定330万円)に近い一方、エンジニアなら相場(推定400万円)から100万円低い、というように意味がまったく変わるからです。
20代の年収相場(推定・万円)
| 職種 | 22〜25歳 | 26〜29歳 |
|---|---|---|
| エンジニア | 400 | 490 |
| 営業 | 430 | 520 |
| マーケティング | 440 | 540 |
| 事務・管理 | 380 | 450 |
| 販売・サービス | 330 | 360 |
| 全職種平均 | 390 | 450 |
出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)に基づく推定値。「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与」で算出し、10万円単位に丸めています。
まず確認すべきは「自分の職種の列」です。自分の職種の22〜25歳の相場と300万円の差が小さいなら、それは個人の問題ではなく職種の給与水準の問題である可能性が高く、打ち手も変わってきます。
統計そのものの年齢階級で見ると、25歳は「25〜29歳」の入口にあたります。主な職種について、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の職種別の値から、20〜24歳と25〜29歳の平均年収を計算すると次のとおりです。
主な職種の20代の平均年収(令和7年の統計・男女計)
| 職種(統計の区分) | 20〜24歳 | 25〜29歳 |
|---|---|---|
| 介護職員(医療・福祉施設等) | 316.3万円 | 357.6万円 |
| 飲食物調理従事者 | 315.8万円 | 359.4万円 |
| 販売店員 | 325.1万円 | 367.2万円 |
| 保育士 | 350.4万円 | 399.6万円 |
| 会計事務従事者(経理) | 353.2万円 | 424.0万円 |
| 総合事務員 | 362.3万円 | 458.3万円 |
| 自動車組立従事者 | 432.3万円 | 469.2万円 |
| ソフトウェア作成者 | 363.0万円 | 484.7万円 |
| 看護師 | 440.1万円 | 501.5万円 |
| その他の営業職業従事者 | 381.8万円 | 513.0万円 |
| 全職種平均 | 361.4万円 | 448.2万円 |
企業規模10人以上の民営事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)・男女計の平均値。月給は2025年6月分、賞与は2024年の1年間の実績で、いずれも税・社会保険料を引く前の額。年収は「月給×12+年間賞与」で計算した値です。出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)一般労働者・職種 表5 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040421120 /全職種平均は同調査 一般労働者 表1(学歴計) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040420843
25〜29歳の平均は、介護職員の357.6万円から営業の513.0万円まで幅があり、年収300万円はこの表のどの職種の平均も下回ります。一方、20〜24歳では、介護職員(316.3万円)・飲食物の調理(315.8万円)・販売店員(325.1万円)の平均が300万円台前半です。25歳で300万円なら、20代前半の水準からあまり伸びていない可能性があり、その理由が職種の給与水準なのか、勤め先や評価なのかを切り分けることが次の一歩になります。なお、平均は一部の高い人に引っ張られやすく、真ん中の人(中央値)は平均より低くなりやすい点も踏まえて読んでください。
Q2. ネットで見る「同年代の平均」と実感がズレるのはなぜ?
「25歳の平均は◯◯万円」という記事を見て「周りはそんなにもらっていない」と感じる人は多いはずです。ズレの主な理由は次の3つです。
- ① 賞与込みかどうか: 統計の年収は賞与(ボーナス)を含むものが多く、月給×12で考えている実感値より高く出ます。賞与が少ない・ない会社に勤めている場合、このズレは特に大きくなります。
- ② 平均は高い方に引っ張られる: 平均値は一部の高年収層に引き上げられる性質があり、「ちょうど真ん中の人」の水準より高く出やすい傾向があります。
- ③ 職種・地域の構成が違う: 全職種平均には給与水準の高い職種・都市部の給与が混ざっています。自分の職種・地域の相場と比べないと、比較として意味を持ちません。
つまり「平均より低い=自分の評価が低い」ではありません。比べるべきは全体の平均ではなく、同じ職種・同じ年齢帯の相場です。そのうえで差が大きいなら、原因は「会社の給与テーブル」か「職種の土俵」のどちらかに切り分けられます。
Q3. 300万円から上げるには? 現実的な3つの選択肢
25歳の強みは、どの選択肢もまだ取れることです。年齢が上がるほど選択肢は絞られていくため、「どれを選ぶか」を考える価値がある時期と言えます。
- ① 現職で上げる: 昇給・昇格・評価制度の活用。人間関係や環境を維持できるのが利点ですが、会社の給与テーブル自体が低い場合、数年かけても上がり幅が限られることがあります。就業規則や先輩の年収カーブから「この会社で28歳のとき、いくらになりそうか」を見積もるのが判断材料になります。
- ② 同じ職種のまま会社を変える: 同じ仕事でも、会社の給与テーブルが違えば提示額は変わります。自分の職種の相場より明確に低い場合に、最も直接的に効く選択肢です。
- ③ 職種・業界の土俵を変える: 前掲の表のとおり、職種間の差は26〜29歳でさらに開きます(販売・サービス推定360万円とマーケティング推定540万円で180万円差)。差が開き切る前の20代半ばは、ポテンシャル評価で職種を変えやすい時期です。ただし転換直後は提示額が一時的に下がる場合があり、数年単位で回収する計画が要ります。
どれが正解かは、Q1で確認した「相場との差の出どころ」で決まります。職種相場に対して低いなら②、職種相場そのものが低くその水準に不満があるなら③、相場とほぼ同じで環境に不満がないなら①で粘る、が基本の整理です。
Q4. 動く前に何をすればいい?
- ① 現在地を数字で確かめる: 自分の職種・年齢の相場と、いまの年収(賞与込み)の差を確認します。差の大きさが、動く優先度そのものです。
- ② 不満を「条件」に翻訳する: 「年収◯◯万円以上」「残業△△時間以内」のように具体化します。面接での説明と、転職先選びの基準づくりを兼ねられます。
- ③ 経験を数字で棚卸しする: 2〜3年目でも、担当件数・規模・改善の実績は書けます。年収を上げる交渉の材料は、この棚卸しから生まれます。
- ④ 在職中に情報収集を始める: 求人を見る・相談するだけなら現職への影響はありません。収入が続く状態で比較の基準を持ってから、応募に進むのが安全です。
まとめ
25歳の年収300万円が「少ないかどうか」は、全職種平均(推定390万円)ではなく自分の職種の相場と比べて初めて意味のある答えが出ます。相場より明確に低いなら会社を変える選択肢が、職種の相場そのものに不満があるなら土俵を変える選択肢が効きやすく、どちらも20代半ばの今が動きやすい時期です。まずは相場との差を数字で確かめ、不満を条件に翻訳することから始めてください。