機械や通信機器、情報システムなどを扱う営業の年収は、平均659.4万円です(平均年齢42.2歳・平均勤続13.7年)。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)では、この仕事は「機械器具・通信・システム営業職業従事者(自動車を除く)」という区分で集計されています。その区分の月給と賞与から、「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で年収を計算しました。
この記事では、統計区分「機械器具・通信・システム営業職業従事者(自動車を除く)」を短く「IT・機器の営業」と呼びます。同じ統計の数字を使って、年齢による年収の伸び方、全職種平均との差が開く年代、勤め先の企業規模による違い、手取りの目安を順に見ていきます。自動車・金融・保険の営業や一般的な営業職は統計上別の区分のため、ここでの数字には含まれません(一般的な営業職の年収は別のコラムで整理しています)。
IT・機器の営業の平均年収は659.4万円(月給42.56万円・年間賞与148.68万円)
機械器具・通信・システム営業職業従事者(自動車を除く)の給与の内訳(全年齢・男女計)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月給(きまって支給する現金給与額) | 42.56万円 |
| うち所定内給与額(残業代などを除いた額) | 38.79万円 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 148.68万円 |
| 年収(月給×12+年間賞与) | 659.4万円 |
| 平均年齢・平均勤続年数 | 42.2歳・13.7年 |
統計区分「機械器具・通信・システム営業職業従事者(自動車を除く)」(機械・通信機器・情報システムなどを扱う営業)の値です。自動車・金融・保険の営業や、その他の営業職業従事者などは別の区分で集計されているため含まれません。区分は扱う商品の種類によるものです。また表5は産業計の値のため、メーカー・販売会社・情報通信業といった勤め先の業種による違いまでは読み取れません。企業規模10人以上の民営事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)・男女計の平均値。月給は2025年6月分、賞与は2024年の1年間の実績で、いずれも税・社会保険料を引く前の額。年収は「月給×12+年間賞与」で計算した値です。出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)一般労働者・職種 表5「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040421120
月給の42.56万円は、毎月決まって支給される給与の合計で、残業代や各種の手当を含みます。そのうち所定内給与額は38.79万円で、残りは時間外・休日・深夜の勤務に対して支払われた分にあたります。いずれも税金や社会保険料を引く前の額面で、正社員だけでなく契約社員なども含めた、雇用形態を問わない平均です。
年間賞与その他特別給与額は148.68万円で、年収のなかで賞与の占める部分も小さくありません。賞与は会社や部門の業績、個人の評価によって決まることが多く、年によって増減しやすい点は意識しておきたいところです。なお、平均値は分布の真ん中(中央値)とは一致せず、年収の高い一部の人がいると上に寄りやすいことも頭に入れておいてください。
年齢別に見ると: 40代までに大きく伸び、ピークは55〜59歳の819.6万円
機械器具・通信・システム営業職業従事者の年齢別の月給・賞与・年収(男女計)
| 年齢階級 | 月給 | 年間賞与 | 年収 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 29.40万円 | 51.00万円 | 403.8万円 |
| 25〜29歳 | 33.50万円 | 106.85万円 | 508.9万円 |
| 30〜34歳 | 38.16万円 | 128.41万円 | 586.3万円 |
| 35〜39歳 | 42.60万円 | 155.86万円 | 667.1万円 |
| 40〜44歳 | 46.62万円 | 172.15万円 | 731.6万円 |
| 45〜49歳 | 49.78万円 | 184.20万円 | 781.6万円 |
| 50〜54歳 | 50.18万円 | 189.25万円 | 791.4万円 |
| 55〜59歳 | 51.39万円 | 202.87万円 | 819.6万円 |
| 60〜64歳 | 38.90万円 | 130.17万円 | 597.0万円 |
企業規模10人以上の民営事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)・男女計の平均値。月給は2025年6月分、賞与は2024年の1年間の実績で、いずれも税・社会保険料を引く前の額。年収は「月給×12+年間賞与」で計算した値です。出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)一般労働者・職種 表5「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040421120
20〜24歳で403.8万円だった年収は、30〜34歳で586.3万円、40〜44歳で731.6万円と上がっていき、55〜59歳の819.6万円がピークです。20〜24歳からピークまでの上がり幅は415.8万円ですが、その多くは40代までの伸びで、45〜49歳の781.6万円から先は、50〜54歳が791.4万円、55〜59歳が819.6万円と緩やかな上がり方になります。全年齢の平均659.4万円は、35〜39歳の667.1万円に近い水準です。
月給と年間賞与に分けると、月給は20〜24歳の29.40万円から45〜49歳の49.78万円まで増えたあと、50〜54歳が50.18万円、55〜59歳が51.39万円と、小さな動きにとどまります。年間賞与は20〜24歳の51.00万円から55〜59歳の202.87万円まで、年齢階級が上がるたびに増えています。月給の伸びが落ち着く50代も賞与は増えていますが、賞与は業績や評価で変わりやすいため、50代の年収は勤め先の業績や担う役割によって差が出やすい年代と考えられます。
60〜64歳は597.0万円で、30〜34歳の586.3万円に近い水準まで下がります。月給も38.90万円と、30〜34歳の38.16万円と近い額です。定年の前後で役職を離れたり、再雇用などで雇用の契約が切り替わったりする人が含まれることが、一因として考えられます。
全職種平均と比べると: 差は30代から40代にかけて大きく開く
IT・機器の営業(機械器具・通信・システム営業職業従事者)と全職種平均の年収(年齢別・男女計)
| 年齢階級 | IT・機器の営業 | 全職種平均 | 差 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 403.8万円 | 361.4万円 | +42.4万円 |
| 25〜29歳 | 508.9万円 | 448.2万円 | +60.7万円 |
| 30〜34歳 | 586.3万円 | 507.3万円 | +79.1万円 |
| 35〜39歳 | 667.1万円 | 556.7万円 | +110.4万円 |
| 40〜44歳 | 731.6万円 | 594.7万円 | +136.9万円 |
| 45〜49歳 | 781.6万円 | 613.6万円 | +167.9万円 |
| 50〜54歳 | 791.4万円 | 633.9万円 | +157.6万円 |
| 55〜59歳 | 819.6万円 | 641.4万円 | +178.2万円 |
| 60〜64歳 | 597.0万円 | 506.3万円 | +90.7万円 |
| 全年齢 | 659.4万円 | 545.6万円 | +113.8万円 |
全職種平均は表1の学歴計の値で、職種を問わず一般労働者全体を集計したものです。企業規模10人以上の民営事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)・男女計の平均値。月給は2025年6月分、賞与は2024年の1年間の実績で、いずれも税・社会保険料を引く前の額。年収は「月給×12+年間賞与」で計算した値です。差は四捨五入前の値から計算しています。出典: IT・機器の営業=厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)一般労働者・職種 表5「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040421120 / 全職種平均=同調査 一般労働者 表1「学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」(学歴計) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040420843
この区分の年収は、20〜24歳の時点ですでに全職種平均を+42.4万円上回り、60〜64歳まで、すべての年齢階級で全職種平均より高くなっています。差がとくに広がるのは30代から40代にかけてで、30〜34歳の+79.1万円が、35〜39歳で+110.4万円、40〜44歳で+136.9万円、45〜49歳で+167.9万円と、年齢階級が上がるたびに大きくなります。
50代の差は、50〜54歳が+157.6万円、55〜59歳が+178.2万円で、40代後半と同じくらいの幅が続き、55〜59歳で最も大きくなります。年齢による伸び方にも違いがあり、20〜24歳から55〜59歳までに全職種平均は280.0万円伸びるのに対し、この区分は415.8万円伸びています。60〜64歳の差は+90.7万円に縮まり、全年齢をまとめた差は+113.8万円です。
全職種平均には、事務・販売・製造・サービスなど、さまざまな職種の人が含まれます。職種によって男女や学歴の構成、勤め先の業種も違うため、この差がすべて仕事の内容の違いから生まれているとは限りません。差の大きさは、平均どうしを比べた目安として受け止めてください。
企業規模別の年収: 1,000人以上は744.6万円、10〜99人との差は188.5万円
機械器具・通信・システム営業職業従事者の年収(勤め先の企業規模別・全年齢・男女計)
| 企業規模 | 平均年齢 | 月給 | 年間賞与 | 年収 |
|---|---|---|---|---|
| 10人以上の計 | 42.2歳 | 42.56万円 | 148.68万円 | 659.4万円 |
| 1,000人以上 | 42.0歳 | 46.64万円 | 184.93万円 | 744.6万円 |
| 100〜999人 | 40.9歳 | 41.27万円 | 145.12万円 | 640.4万円 |
| 10〜99人 | 44.7歳 | 38.23万円 | 97.38万円 | 556.1万円 |
企業規模は、支店や営業所ごとの人数ではなく、勤め先の法人全体で働く常用労働者の数による区分です。規模の間の差は四捨五入前の値から計算しています。企業規模10人以上の民営事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)・男女計の平均値。月給は2025年6月分、賞与は2024年の1年間の実績で、いずれも税・社会保険料を引く前の額。年収は「月給×12+年間賞与」で計算した値です。出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)一般労働者・職種 表5「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040421120
年収がいちばん高いのは1,000人以上の744.6万円で、100〜999人は640.4万円、10〜99人は556.1万円と、規模が小さくなるにつれて低くなります。最も高い1,000人以上と最も低い10〜99人では、188.5万円の開きがあります。内訳を見ると、1,000人以上は月給46.64万円・年間賞与184.93万円、10〜99人は月給38.23万円・年間賞与97.38万円で、月給と賞与のどちらにも差が出ています。年間賞与は、10〜99人では1,000人以上を大きく下回る水準です。
規模ごとの平均年齢は、10〜99人が44.7歳と最も高く、1,000人以上が42.0歳、100〜999人が40.9歳です。100〜999人は規模別で最も若いものの、年収は640.4万円と全体の平均659.4万円に近い水準です。反対に10〜99人は平均年齢が高いにもかかわらず年収が最も低く、年齢別の表では年齢が上がるほど年収も高い並びだったことを踏まえると、同じ年齢どうしで比べた場合、規模による差は表の数字より大きい可能性があります。
ただし、規模による差の188.5万円は、年齢別の表で見た20〜24歳からピークまでの上がり幅415.8万円より小さめです。この統計の範囲では、勤め先の規模よりも年齢による違いのほうが大きく表れています。求人を見るときは、勤め先の規模だけでなく、給与の決まり方もあわせて確かめるとよいでしょう。
手取りの目安: 平均月給42.56万円なら月31.9〜34.0万円
手取りは額面の75〜80%程度が目安で、平均の月給42.56万円にあてはめると月31.9〜34.0万円です。額面から引かれるのは、健康保険・厚生年金・雇用保険などの社会保険料と、所得税・住民税です。実際の額は、扶養している家族の有無や住んでいる自治体、前年の所得によって変わります。住民税は前年の所得をもとに決まるため、昇給や転職で年収が上がった年は、翌年になって住民税が増え、手取りの伸びが額面の伸びより小さく感じられることがあります。
年収を上げるために確認したいこと: 商流・商材・評価の仕組み
- 勤め先が商流のどこにいるか: 同じ機器やシステムの営業でも、製品をつくるメーカー、仕入れた製品を販売する販売会社や商社、システムを組み立てて納める会社(SIer)などで、利益の出方や給与の決め方が異なる可能性があります。自社製品を売るのか、他社の製品を組み合わせて提案するのかも、求人を比べるときに確かめたい点です。
- 売り切りか、続いていく契約か: 機器の販売のように一度の取引が大きい商材と、保守契約や月額の利用料のように売上が積み上がっていく商材とでは、成果の数え方や評価の時期が変わりやすい傾向があります。自分の成果がどの指標で測られ、賞与や昇給にどうつながるのかを確認しておくと、年収の見通しを立てやすくなります。
- 技術の知識と提案の幅: 通信やシステムの営業では、技術担当の社員と組んで、顧客の課題に合わせた構成を提案する場面がよくあります。クラウドやセキュリティなど関心の高い分野の知識を身につけておくと、担当できる案件の幅が広がる可能性があります。
- 担当してきた顧客と案件の大きさ: 規模の大きな企業や公共機関の案件、複数の部署にまたがる導入を担当した経験は、転職の場面で経験の厚みとして伝わりやすい傾向があります。案件の規模や期間、その中での自分の役割を整理しておくと、条件の相談もしやすくなります。
- 中堅以降の進み方: 年齢別の表では、中堅の年代までに年収が大きく伸び、その後は伸び方が緩やかになる並びでした。チームを率いる管理職に進むのか、大型案件を担う営業として専門性を深めるのかを考えておくと、勤め先や求人を選ぶときの判断材料になります。
メーカーか販売会社か、売り切りか継続契約かといった違いは、求人票の文面だけでは読み取りにくいことがあります。転職支援の窓口で、賞与の決まり方や成果の評価方法を質問しながら候補を絞り込むのも、ひとつの進め方です。
まとめ
IT・機器の営業(機械器具・通信・システム営業職業従事者)の平均年収は659.4万円で、20〜24歳の403.8万円から55〜59歳の819.6万円まで、年齢とともに高くなります。20代前半から60代前半まで全職種平均より高い水準が続き、差は30代から40代にかけて広がって、55〜59歳の+178.2万円が最も大きくなっています。勤め先の規模では1,000人以上と10〜99人の間に188.5万円の差がありますが、年齢による上がり幅ほどではありません。年収を上げたいときは、勤め先の商流での立ち位置、商材の売り方、成果の評価の仕組みを確かめたうえで、複数の求人を見比べるところから始めてみてください。