採用や労務の手続き、社内の庶務などを受け持つ人事・総務の仕事は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)では、主に「庶務・人事事務員」という職種にあたります。この職種の平均年収は525.2万円で、働く人の平均年齢は44.9歳、平均勤続年数は13.3年です。年収は、きまって支給する現金給与額(月給)を12倍し、年間賞与その他特別給与額を足して計算しました。
年齢別に見ると、人事・総務の年収は20代後半から30代前半まで全職種平均とほとんど同じ水準で推移し、40代で差が開いたあと、50代前半で差が縮まるという動きをしています。この記事では、その動きを年齢別の表で確かめたうえで、全職種平均との差、勤め先の企業規模による違い、手取りの目安を、いずれも同じ調査の数字をもとに整理します。
平均年収525.2万円の内訳と、統計の「庶務・人事事務員」に含まれる人
人事・総務(庶務・人事事務員)の給与の内訳(全年齢・男女計)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月給(きまって支給する現金給与額) | 34.92万円 |
| うち所定内給与額(残業代などを除いた額) | 32.61万円 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 106.18万円 |
| 年収(月給×12+年間賞与) | 525.2万円 |
| 平均年齢・平均勤続年数 | 44.9歳・13.3年 |
統計区分「庶務・人事事務員」(人事・労務・庶務の事務)。経理を専門とする人は「会計事務従事者」という別の区分で、総務の担当でも経理などを含めて事務全般を幅広く受け持つ人は「総合事務員」に数えられる場合があります。どちらもこの記事の数字には含まれません。部署の管理を主な仕事とする課長・部長などは、「管理的職業従事者」という管理職の区分で集計される場合があります(区分は肩書きではなく仕事の内容で決まります)。企業規模10人以上の民営事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)・男女計の平均値。月給は2025年6月分、賞与は2024年の1年間の実績で、いずれも税・社会保険料を引く前の額。年収は「月給×12+年間賞与」で計算した値です。出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)一般労働者・職種 表5「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040421120
表の月給には、残業代のほか通勤手当などの手当も含まれ、年間賞与とあわせて、税金や社会保険料が引かれる前の額面です。また、正社員と契約社員などの雇用形態を合わせた平均値で、一部の高い人や低い人の影響を受けやすい点にも注意が必要です。
「人事」や「総務」と呼ばれる仕事の範囲は会社によって違い、統計でどの区分に数えられるかは、主に受け持っている仕事の内容で決まります。人事や総務に加えて経理なども一人で受け持っている場合は、総合事務員の数字のほうが実態に近い可能性もあるため、「事務職(総合事務員)の年収」もあわせて確かめてみてください。
年齢別の年収: 45〜49歳でいったん下がり、50代前半に599.0万円へ上がる
人事・総務(庶務・人事事務員)の年齢別の月給・賞与・年収(男女計)
| 年齢階級 | 月給 | 年間賞与 | 年収 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 26.09万円 | 39.07万円 | 352.2万円 |
| 25〜29歳 | 29.99万円 | 85.81万円 | 445.7万円 |
| 30〜34歳 | 33.55万円 | 102.80万円 | 505.4万円 |
| 35〜39歳 | 35.79万円 | 110.73万円 | 540.2万円 |
| 40〜44歳 | 36.72万円 | 114.55万円 | 555.2万円 |
| 45〜49歳 | 36.17万円 | 110.57万円 | 544.6万円 |
| 50〜54歳 | 38.63万円 | 135.44万円 | 599.0万円 |
| 55〜59歳 | 39.49万円 | 127.26万円 | 601.1万円 |
| 60〜64歳 | 32.50万円 | 93.14万円 | 483.1万円 |
企業規模10人以上の民営事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)・男女計の平均値。月給は2025年6月分、賞与は2024年の1年間の実績で、いずれも税・社会保険料を引く前の額。年収は「月給×12+年間賞与」で計算した値です。出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)一般労働者・職種 表5「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040421120
年収が最も高いのは55〜59歳の601.1万円で、20〜24歳の352.2万円からの上がり幅は249.0万円です。20代から40代前半までは、年齢階級を追うごとに年収が上がっていき、40〜44歳で555.2万円に達します。
目を引くのは、40代後半から50代前半にかけての動きです。45〜49歳は544.6万円で、40〜44歳より月給(36.17万円)と年間賞与(110.57万円)のどちらも少なく、年収はわずかに下がります。ところが50〜54歳では599.0万円に上がり、55〜59歳の601.1万円とほとんど変わらない水準になります。50〜54歳の年間賞与135.44万円は表のすべての年齢階級の中で最も多く、月給は55〜59歳の39.49万円が最も高いため、50代の二つの年齢階級が、この職種で年収の高い時期にあたります。
45〜49歳でいったん下がる動きは、一人ひとりの年収がこの年代で下がることを示すとは限りません。表の値は、それぞれの年齢階級でいま働いている人の平均のため、年代によって勤め先の規模や雇用形態、担当している仕事の構成が異なることが表れている可能性があります。
60〜64歳は483.1万円で、30〜34歳の505.4万円も下回ります。定年後の再雇用の制度は、人事・総務が社内で設計や運用を担うことの多い仕組みです。自分の勤め先で定年後の給与や賞与がどのように決まるのかを、制度の中身から早めに確かめておくと、この年代の働き方を考えやすくなります。
全職種平均との差: 30代前半まではほぼ同じ、45〜49歳で69.0万円まで開く
人事・総務(庶務・人事事務員)と全職種平均の年収(年齢別・男女計)
| 年齢階級 | 庶務・人事事務員 | 全職種平均 | 差 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 352.2万円 | 361.4万円 | -9.2万円 |
| 25〜29歳 | 445.7万円 | 448.2万円 | -2.5万円 |
| 30〜34歳 | 505.4万円 | 507.3万円 | -1.9万円 |
| 35〜39歳 | 540.2万円 | 556.7万円 | -16.5万円 |
| 40〜44歳 | 555.2万円 | 594.7万円 | -39.5万円 |
| 45〜49歳 | 544.6万円 | 613.6万円 | -69.0万円 |
| 50〜54歳 | 599.0万円 | 633.9万円 | -34.9万円 |
| 55〜59歳 | 601.1万円 | 641.4万円 | -40.2万円 |
| 60〜64歳 | 483.1万円 | 506.3万円 | -23.1万円 |
| 全年齢 | 525.2万円 | 545.6万円 | -20.3万円 |
全職種平均は、同じ調査で職種を分けずに集計した一般労働者全体(学歴計)の値です。企業規模10人以上の民営事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)・男女計の平均値。月給は2025年6月分、賞与は2024年の1年間の実績で、いずれも税・社会保険料を引く前の額。年収は「月給×12+年間賞与」で計算した値です。差は四捨五入前の値から計算しています。出典: 庶務・人事事務員=厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)一般労働者・職種 表5「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040421120 / 全職種平均=同調査 一般労働者 表1「学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」(学歴計) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040420843
20〜24歳は-9.2万円と全職種平均をやや下回りますが、25〜29歳は-2.5万円、30〜34歳は-1.9万円で、20代後半から30代前半にかけては全職種平均とほとんど変わらない水準です。事務の仕事だからといって、若い年代から全職種平均を大きく下回るわけではない並びです。
差が目立ち始めるのは35〜39歳の-16.5万円からで、40〜44歳で-39.5万円、45〜49歳で-69.0万円と広がります。45〜49歳で差が最も大きくなるのは、全職種平均が594.7万円から613.6万円に上がる一方で、人事・総務の年収は555.2万円から544.6万円へ下がるためです。
50〜54歳では、人事・総務の年収が599.0万円に上がることで、全職種平均(633.9万円)との差は-34.9万円まで縮まります。その後の55〜59歳は-40.2万円、60〜64歳は-23.1万円で、40代後半ほどの開きにはなっていません。
20〜24歳から55〜59歳までの伸びで比べると、人事・総務の249.0万円は全職種平均の280.0万円を下回ります。全年齢の平均どうしの差は-20.3万円ですが、この一つの数字には、30代前半までの「ほとんど差がない」時期と、40代後半の大きな開きの両方がならされて含まれています。
企業規模による差は167.9万円: 1,000人以上の平均は年齢別のピークと並ぶ水準
人事・総務(庶務・人事事務員)の年収(勤め先の企業規模別・全年齢・男女計)
| 企業規模 | 平均年齢 | 月給 | 年間賞与 | 年収 |
|---|---|---|---|---|
| 10人以上の計 | 44.9歳 | 34.92万円 | 106.18万円 | 525.2万円 |
| 1,000人以上 | 43.6歳 | 38.83万円 | 136.80万円 | 602.8万円 |
| 100〜999人 | 44.9歳 | 34.18万円 | 99.54万円 | 509.7万円 |
| 10〜99人 | 46.9歳 | 30.30万円 | 71.27万円 | 434.9万円 |
企業規模の区分は、勤め先の法人全体の常用労働者数によるもので、本社・支店など個々の事業所の人数とは異なります。企業規模10人以上の民営事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)・男女計の平均値。月給は2025年6月分、賞与は2024年の1年間の実績で、いずれも税・社会保険料を引く前の額。年収は「月給×12+年間賞与」で計算した値です。出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)一般労働者・職種 表5「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040421120
年収は1,000人以上が602.8万円、100〜999人が509.7万円、10〜99人が434.9万円で、勤め先の規模が大きいほど高い並びです。1,000人以上と10〜99人の差は167.9万円で、月給(38.83万円と30.30万円)と年間賞与(136.80万円と71.27万円)のどちらにも開きがあります。
平均年齢は、1,000人以上が43.6歳と最も若く、100〜999人が44.9歳、10〜99人が46.9歳です。年齢別の表では、50代までおおむね年齢が上がるほど年収が高い傾向でしたが、規模別では平均年齢の最も若い1,000人以上が最も高い年収です。その602.8万円は、年齢別の表で最も高い55〜59歳の601.1万円と並ぶ水準で、この職種では勤め先の規模が年収を大きく左右しやすいことがうかがえます。
100〜999人の509.7万円は、全体の平均525.2万円をやや下回ります。全体の平均は1,000人以上の高い値に引き上げられている面があるため、中規模の勤め先で働いている人は、全体の平均よりも規模別の値と比べるほうが、実態に近い比較になりやすいと考えられます。
規模別の値は平均どうしの比較で、同じ規模でも会社ごとに賃金制度は異なります。等級の仕組みや賞与の算定方法を読み解く力は、人事・総務の仕事で身につきやすい視点でもあるため、転職先の条件を比べるときにも生かしやすいでしょう。
手取りの目安は月26.2〜27.9万円(平均の月給34.92万円の場合)
給与計算を担当している人にはなじみのある計算ですが、手取りは、額面の月給から健康保険・厚生年金・雇用保険などの保険料と、所得税・住民税を差し引いた残りの額です。目安は額面の75〜80%程度で、平均の月給34.92万円で計算すると、月26.2〜27.9万円になります。扶養している家族の有無や住んでいる自治体、前年の所得によって実際の額は変わります。
年間賞与からも社会保険料と所得税が差し引かれるため、賞与の手取りも額面より少なくなります。年間で手元に残る額を考えるときは、毎月の手取りに加えて、賞与の明細も確かめておくと安心です。
人事・総務で年収を伸ばすために確かめておきたいこと
- 受け持つ領域の幅: 人事・総務の仕事には、給与計算や社会保険の手続きといった労務の実務から、採用、研修、評価や賃金の制度づくり、社内の庶務までの幅があります。いまの担当がどの領域に偏っているかを整理し、次に経験を広げたい領域を決めておくと、社内での役割を考えるときにも、転職先を選ぶときにも軸になりやすくなります。
- 労務の知識を示す資格: 社会保険労務士や衛生管理者などの資格は、労務の知識を示す材料になり得ます。資格手当や評価への反映は会社によって異なるので、勤め先の制度を確かめたうえで判断すると安心です。
- 自社の賃金制度の中での位置: 人事・総務は、等級や評価、賃金表を社内で運用する側に立つことの多い仕事です。自分がいまどの等級にいて、次の等級や役職に上がるには何が求められるのか、賞与がどのような算定で決まるのかを、制度の中身から確かめておくと、年収の伸びしろを見積もりやすくなります。統計で全職種平均との差が開いていた年代に入る前に、確かめておきたい点です。
- 経験の伝え方: 人事・総務の経験は、担当した手続きや制度の名前を並べるだけでは伝わりにくいことがあります。関わった採用の規模、整えた規程や仕組み、手続きの見直しで変わったことなどを具体的に書くと、経験の幅と深さが伝わりやすくなります。まとめ方の例は「職務経歴書は数字で書く」で紹介しています。
- 求人を比べるときの軸: 同じ「人事・総務」の求人でも、労務が中心か採用が中心か、人事と総務を兼ねるかによって、求められる経験と条件は変わりやすい傾向があります。統計で見られた勤め先の規模による差もふまえて、担当範囲と規模の近い求人どうしで比べると、条件の違いを判断しやすくなります。
担当する範囲や評価の仕組みは、求人票の短い説明だけでは見えにくいところです。気になる求人があれば、いまの職場の条件と項目ごとに照らし合わせてみると、判断の材料がそろいやすくなります。
まとめ
人事・総務(庶務・人事事務員)の平均年収は525.2万円で、20代後半から30代前半までは全職種平均とほとんど同じ水準です。40代で差が開いて45〜49歳では69.0万円の差になりますが、50代前半には年収が599.0万円に上がって差が縮まり、最も高いのは55〜59歳の601.1万円でした。勤め先の企業規模による差は167.9万円で、1,000人以上の平均は年齢別のピークと並ぶ水準です。受け持つ領域の幅や、自社の等級・評価・賞与の仕組みを確かめたうえで、担当範囲と規模の近い求人と比べてみてください。