IT技術者の年収は、統計では複数の区分に分かれています。この記事で扱うのは、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)の職種「その他の情報処理・通信技術者」の数字です。毎月の給与(きまって支給する現金給与額)の12か月分と年間賞与その他特別給与額を合わせて年収を出すと、平均は609.8万円でした。この区分で働く人の平均年齢は42.2歳、平均勤続年数は12.1年です。同じ調査で全職種をまとめた平均(全年齢)は545.6万円なので、この区分はそれより64.2万円高くなっています。
この区分は、同じ統計の「ソフトウェア作成者」や「システムコンサルタント・設計者」とは別に集計されています。この記事では、この区分の数字を「IT技術者(ソフトウェア作成・システム設計以外)」の年収として、全職種平均と比べてどの年代から差がつくのか、勤め先の規模によって月給と賞与のどちらに違いが出るのか、手取りにするとどのくらいになるのかを、表と読み取りで確かめます。ソフトウェア作成者の年収は、関連記事「エンジニア(ソフトウェア作成者)の年収」で扱っています。
平均609.8万円を分解すると: 月給41.58万円・年間賞与110.80万円
IT技術者(その他の情報処理・通信技術者)の給与の内訳(全年齢・男女計)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月給(きまって支給する現金給与額) | 41.58万円 |
| うち所定内給与額(残業代などを除いた額) | 37.91万円 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 110.80万円 |
| 年収(月給×12+年間賞与) | 609.8万円 |
| 平均年齢・平均勤続年数 | 42.2歳・12.1年 |
統計区分「その他の情報処理・通信技術者」(ソフトウェア作成者・システムコンサルタント等を除く情報処理・通信の技術者)の値です。同じ表5では「ソフトウェア作成者」と「システムコンサルタント・設計者」が別の区分として集計されており、この記事の数字には入っていません。表5の職種の一覧に「インフラエンジニア」「社内SE」という名前の区分はなく、そう呼ばれる仕事をしている人がこの区分に数えられているかどうかは、統計からは分かりません。表5は産業計(すべての業種を合わせた値)で、雇用形態(正社員・契約社員など)も区別せずに合わせた平均です。企業規模10人以上の民営事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)・男女計の平均値。月給は2025年6月分、賞与は2024年の1年間の実績で、いずれも税・社会保険料を引く前の額。年収は「月給×12+年間賞与」で計算した値です。出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)一般労働者・職種 表5「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040421120
表の月給41.58万円は、毎月きまって支払われる給与を、税・社会保険料が引かれる前の額面で示したものです。残業代などを除いた所定内給与額は37.91万円で、月給にはこれに残業代などの分が加わっています。統計の月給は2025年6月分の値なので、システムの切り替えや障害への対応で作業が立て込む月があっても、そうした月ごとの違いはこの数字からは読み取れません。
また、この平均には、IT企業で働く人かどうかといった勤め先の業種の違いや、正社員・契約社員などの雇用形態の違いが区別されずに含まれています。民営の事業所で働く人を集計した統計なので、国や自治体などで公務員として情報システムを担当している人の給与は入っていません。
年齢別の年収: 55〜59歳の777.8万円まで上がり続け、60〜64歳は529.8万円
IT技術者(その他の情報処理・通信技術者)の年齢別の月給・賞与・年収(男女計)
| 年齢階級 | 月給 | 年間賞与 | 年収 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 28.01万円 | 52.19万円 | 388.3万円 |
| 25〜29歳 | 31.36万円 | 76.34万円 | 452.7万円 |
| 30〜34歳 | 37.30万円 | 101.34万円 | 548.9万円 |
| 35〜39歳 | 40.57万円 | 117.29万円 | 604.1万円 |
| 40〜44歳 | 45.65万円 | 132.66万円 | 680.5万円 |
| 45〜49歳 | 47.92万円 | 127.11万円 | 702.2万円 |
| 50〜54歳 | 49.86万円 | 126.19万円 | 724.5万円 |
| 55〜59歳 | 51.82万円 | 155.97万円 | 777.8万円 |
| 60〜64歳 | 35.87万円 | 99.38万円 | 529.8万円 |
年齢階級ごとの値は、調査の時点で働いていた人をまとめた平均です。ある人が年齢を重ねたときの年収の変化を追ったものではない点に注意してください。企業規模10人以上の民営事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)・男女計の平均値。月給は2025年6月分、賞与は2024年の1年間の実績で、いずれも税・社会保険料を引く前の額。年収は「月給×12+年間賞与」で計算した値です。出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)一般労働者・職種 表5「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040421120
20〜24歳の388.3万円から55〜59歳の777.8万円まで、年齢階級が一つ上がるたびに年収も高くなり、この間の上がり幅は389.5万円です。伸びがとくに大きいのは20代後半から30代前半にかけてで、25〜29歳の452.7万円が30〜34歳では548.9万円になり、月給も31.36万円から37.30万円に増えています。
40代から50代前半にかけては、月給と賞与の動きが分かれます。月給は40〜44歳の45.65万円から、45〜49歳の47.92万円、50〜54歳の49.86万円と上がり続ける一方で、年間賞与は40〜44歳の132.66万円に対して、45〜49歳が127.11万円、50〜54歳が126.19万円とわずかに少なくなっています。この間の年収は680.5万円、702.2万円、724.5万円と、月給の伸びに沿って緩やかに増えています。
55〜59歳になると、年間賞与が155.97万円と年齢階級の中で最も多くなり、月給も51.82万円まで上がって、年収は777.8万円に達します。60〜64歳では月給が35.87万円、年間賞与が99.38万円となり、年収は529.8万円と、30〜34歳の548.9万円も下回ります。この年代には、定年後の再雇用などで給与の条件が変わった人も含まれている可能性があり、それまでの年齢階級と同じ物差しでは比べにくい点に注意が必要です。
全職種平均との差: 20代後半はほぼ並び、30代から開いて55〜59歳で最大+136.5万円
IT技術者(その他の情報処理・通信技術者)と全職種平均の年収(年齢別・男女計)
| 年齢階級 | IT技術者 | 全職種平均 | 差 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 388.3万円 | 361.4万円 | +26.9万円 |
| 25〜29歳 | 452.7万円 | 448.2万円 | +4.5万円 |
| 30〜34歳 | 548.9万円 | 507.3万円 | +41.7万円 |
| 35〜39歳 | 604.1万円 | 556.7万円 | +47.4万円 |
| 40〜44歳 | 680.5万円 | 594.7万円 | +85.8万円 |
| 45〜49歳 | 702.2万円 | 613.6万円 | +88.5万円 |
| 50〜54歳 | 724.5万円 | 633.9万円 | +90.7万円 |
| 55〜59歳 | 777.8万円 | 641.4万円 | +136.5万円 |
| 60〜64歳 | 529.8万円 | 506.3万円 | +23.6万円 |
| 全年齢 | 609.8万円 | 545.6万円 | +64.2万円 |
IT技術者は統計区分「その他の情報処理・通信技術者」の値、全職種平均は同じ調査の一般労働者全体(学歴計)の値です。企業規模10人以上の民営事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)・男女計の平均値。月給は2025年6月分、賞与は2024年の1年間の実績で、いずれも税・社会保険料を引く前の額。年収は「月給×12+年間賞与」で計算した値です。差は四捨五入前の値から計算しています。出典: IT技術者(その他の情報処理・通信技術者)=厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)一般労働者・職種 表5「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040421120 / 全職種平均=同調査 一般労働者 表1「学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」(学歴計) https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040420843
20〜24歳では、この区分の388.3万円が全職種平均の361.4万円を26.9万円上回ります。ところが25〜29歳になると、452.7万円と448.2万円で差は+4.5万円まで縮まり、全職種平均とほぼ同じ水準です。差がはっきり開き始めるのは30代で、30〜34歳が+41.7万円、35〜39歳が+47.4万円です。
40〜44歳では差が+85.8万円と一段大きくなり、45〜49歳が+88.5万円、50〜54歳が+90.7万円と、50代前半までは同じくらいの幅が続きます。55〜59歳では、全職種平均が633.9万円から641.4万円への小さな上昇にとどまるのに対して、この区分は724.5万円から777.8万円に上がるため、差は+136.5万円と表の中で最も大きくなります。60〜64歳はこの区分の年収が529.8万円まで下がり、差も+23.6万円に縮まります。
同じ20〜24歳から55〜59歳までの範囲で年収の増え方を比べると、この区分が389.5万円、全職種平均が280.0万円で、この区分のほうが大きく増えています。全年齢で比べた差は+64.2万円ですが、年齢階級ごとに見ると25〜29歳の+4.5万円から55〜59歳の+136.5万円まで幅があり、どの年代を見るかで全職種平均との距離の印象は大きく変わります。
勤め先の企業規模別: 月給は100〜999人、年間賞与は1,000人以上が最も多い
IT技術者(その他の情報処理・通信技術者)の年収(勤め先の企業規模別・全年齢・男女計)
| 企業規模 | 平均年齢 | 月給 | 年間賞与 | 年収 |
|---|---|---|---|---|
| 10人以上の計 | 42.2歳 | 41.58万円 | 110.80万円 | 609.8万円 |
| 1,000人以上 | 41.9歳 | 41.45万円 | 142.03万円 | 639.4万円 |
| 100〜999人 | 42.4歳 | 43.35万円 | 101.24万円 | 621.4万円 |
| 10〜99人 | 42.6歳 | 37.39万円 | 74.55万円 | 523.2万円 |
企業規模は、勤め先の法人全体で働く常用労働者の数による区分です。企業規模10人以上の民営事業所で働く一般労働者(短時間労働者を除く)・男女計の平均値。月給は2025年6月分、賞与は2024年の1年間の実績で、いずれも税・社会保険料を引く前の額。年収は「月給×12+年間賞与」で計算した値です。出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年3月24日公表)一般労働者・職種 表5「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040421120
年収を規模の大きい順に並べると、1,000人以上が639.4万円、100〜999人が621.4万円、10〜99人が523.2万円です。1,000人以上と10〜99人の間には116.2万円の差がありますが、1,000人以上と100〜999人は近い水準で、10〜99人だけが低く離れた並びです。
月給と賞与に分けると、規模による並び方が異なります。月給は100〜999人の43.35万円が最も高く、1,000人以上の41.45万円を上回ります。一方、年間賞与は1,000人以上が142.03万円と、100〜999人の101.24万円を大きく上回ります。月給だけなら100〜999人のほうが高いため、1,000人以上の年収が100〜999人を上回っているのは、年間賞与の多さが効いているためと読めます。10〜99人は、月給37.39万円・年間賞与74.55万円とも規模別の中で最も少なくなっています。
平均年齢は、10〜99人が42.6歳、100〜999人が42.4歳、1,000人以上が41.9歳と、規模による違いはわずかです。それでも年収には最大116.2万円の開きがあり、平均年齢が近い者どうしでも規模によって水準が分かれている並びです。どの行も全年齢をまとめた平均なので、年齢ごとの違いは前の年齢別の表で補って見てください。
応募先やいまの勤め先の規模が分かっているときは、年収の総額だけでなく、月給と賞与のどちらで差がついているかを分けて見ると、条件の違いをつかみやすくなります。
額面と手取り: 平均の月給41.58万円は手取りで月31.2〜33.3万円
給与明細の額面から、健康保険・厚生年金などの保険料と所得税・住民税が引かれたあとに残るのが手取りです。額面に対する手取りの割合を75〜80%程度と見ると、平均の月給41.58万円では、月31.2〜33.3万円が受け取る額の目安になります。この割合は、扶養している家族の状況や住所地の自治体、前年の所得で動くため、幅のある目安として受け止めてください。
IT技術者として給与を伸ばしたいときの確認ポイント
- 任されている範囲と評価のつながり: 監視・運用・保守が中心か、設計・構築まで任されているか、社内のIT企画や外部の委託先との調整まで担っているかで、評価や等級の付き方が変わる会社もあります。評価の基準のなかで、どの仕事が昇給・昇格の材料になるのかを上司との面談などで聞いておくと、経験を積む方向を決めやすくなります。
- 夜間・休日の対応の扱い: システムの監視や障害への対応のために、夜間・休日の作業やシフト勤務、呼び出しに備えた待機がある職場もあります。そうした時間の残業代や手当の支払い方、待機の時間が手当の対象になるかは会社によって異なることがあるため、求人票や面接で確かめておくと、月給の中身を比べやすくなります。
- 賞与の出し方: 規模別の表では、年間賞与は規模の大きい勤め先ほど多い並びでしたが、月給はその順になっていませんでした。月給が近い求人どうしでも、賞与の出し方しだいで年収は変わりうるため、賞与の計算のもとになる額や、直近で実際に支給された額を確認しておくと、年収の見込みを立てやすくなります。
- 働く立場と業種: 同じIT技術者の仕事でも、自社の情報システム部門で働くのか、ほかの会社のシステムの運用を請け負う会社で働くのかによって、評価の基準や昇給の仕組みが異なることがあります。この記事の数字は業種を合わせた平均で、こうした違いは統計からは分からないため、求人ごとに確かめる必要があります。
- 経験の棚卸し: 扱ってきたサーバー・ネットワーク・クラウドの範囲、担当したシステムの規模、障害対応や改善で果たした役割、取得した資格などを具体的に書き出しておくと、転職の場面で経験の幅を伝えやすくなります。
夜間・休日の対応の扱いや賞与の出し方は、求人票の年収の欄だけでは見えにくい部分です。IT職の転職に詳しい相談先で、経験の近い人向けの求人条件を聞いてみると、現在の待遇がどのあたりにあるかをつかみやすくなります。
まとめ
IT技術者(ソフトウェア作成・システム設計以外)にあたる「その他の情報処理・通信技術者」の平均年収は609.8万円で、20〜24歳の388.3万円から55〜59歳の777.8万円まで、年齢階級ごとに高くなっています。全職種平均とは25〜29歳でほぼ並び(差は+4.5万円)、30代から差が開いて、55〜59歳で最大の+136.5万円になりました。勤め先の企業規模別では、10〜99人の年収が1,000人以上より116.2万円低く、月給は100〜999人、年間賞与は1,000人以上が最も多いという違いが見られました。担当範囲や夜間・休日の対応の扱い、賞与の出し方を確かめながら、自分の年齢と勤め先の規模に近い行の数字と見比べてみてください。